将棋と麻雀 2017 2 26

 将棋においては、素人は、プロに勝つことはできません。
しかし、麻雀では、素人でも、プロに勝つことができます。
 なぜならば、麻雀においては、
「運」と「運の流れ」が大きな要素を占めているからです。
配られた牌が、素晴らしいものだったら、勝利は確実かもしれません。
 あるいは、配られた牌が平凡でも、
引いてくる牌が魅力的なものだったら、これも勝利が近いでしょう。
 こうした相手に対しては、麻雀のプロは、
どうしても勝てないと経験的にわかっていますので、
冬の積雪に耐えている草木のように、
自分の運が好転するまで耐え抜くでしょう。
 このように、麻雀は、運に左右される場面が多いので、
理論的な、あるいは理念的な将棋とは、大きく違います。
 麻雀には、ギャンブルのような要素がありますので、
理論や理念に加えて、経験論も重要になります。
 さて、イギリス人は、女王陛下まで競馬を楽しむと聞いていますので、
ギャンブル好きの国民と言えるでしょう。
 そういうわけで、イギリスでは、「経験論」が発達するわけです。
これは、理念的なドイツとは、対照的です。
 長い人生は、何が起こるか、わかりません。
人生は、波乱に満ちていると言えるかもしれません。
 政治も経済も、波乱に満ちているでしょう。
だからこそ、「理論」よりも「経験論」が必要とされるでしょう。
経済評論家の吉崎達彦氏によれば、EUには、経験論のイギリスが必要だったという。
 EUの未来が、どうなるかわかりませんが、
「経験論」のイギリスが抜けたEUは、波乱に満ちているでしょう。
 私が思うに、イギリスが、EUの盟主となっていれば、
ギリシャ危機をはじめとする欧州の混乱は、少ないものになったかもしれません。
 平時は、ドイツがEUの盟主となり、
混乱の時は、イギリスがEUの盟主になれば、うまく行ったのかもしれません。

書名 欧州 絶望の現場を歩く
著者 木村 正人  ウェッジ

 欧州を歩けば、誰かがついてくる。
振り向けば、絶望がついてきたのだ。
 著者は、こう言います。
欧州連合の目指した平和と繁栄は、
「人間の尊厳」を立脚点にしなければならない。
 にもかかわらず、単一通貨を守るために、
ギリシャの困窮者を緊縮財政で痛めつけ、
難民の受け入れでは、足並みがそろわず、
極右や急進左派の台頭を許した時点で、
EUは、道徳的に死んだと言えるかもしれない。
(引用、以上)
 欧州の理想は、どこに行ったのか。
今は、単一通貨を維持することが、
欧州の目的になってしまっている。
 しかし、それは、あくまでも「手段」であって、
本当の「目的」があったはずです。
 確かに、混乱の時は、理想を忘れ、目的を取り違えてしまうかもしれません。
しかし、それでは、混乱に漂流しているだけでしょう。






















































































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